出産に最適な日は、ある日1日だけではなく、前後7日くらいの幅があります。その中から何日か希望日を出していただき、そのどれかの希望日に出産できるよう調整が可能です。
パパのご都合に合わせたり、大安の日に希望されたり、四柱推命による幸運を願って選ぶ方もいらっしゃいます。当院では80%の確率で指定日に出産しています。胎児の健康を最優先に考えた上での希望日ですので、実現できない場合もあることをご了承ください。
出産日指定の理論的根拠をご説明します。
1.出産予定日には1週間前後の幅があります。月経周期が28日で常に規則的であれば最終月経から280日目を予定日としますが、実際の受胎日はかなりずれていることが多く、また、個体差があって全例が受胎日から266日目の分娩が最適とは限らないため、分娩に適した日は1日ではなく10日〜2週間の幅があります。
2.自然に陣痛が起きるのを待って分娩する場合は、前項で御説明の通り、一般産科施設の診療時間は1年間の時間の20%しかないので、確率的には約80%が診療時間外の分娩になります。 一方当院の診療時間は一年間の33%ですが、2007年〜2008年の総分娩件数652件の内、診療時間内分娩は68.7%でした。選択的無痛分娩では約7割が診療時間内分娩になることがわかります。分娩に関するトラブルの大部分が診療時間外分娩において発生しています。急変に対する対応能力の高い診療時間内分娩の比率が高い方が安全性は高くなると思います。
3.出産予定日の1週間前(39週)に安産が多い。(1989〜1993年の5年間に妊娠26週以降分娩に至った単胎児6,620,542名の分娩において分娩予定日の1週間前に安産が集中しています。)(妊P第5号.特集無痛分娩3.産む日って選べるの?参照)
以上の理由から出産予定日の1週間前を中心に分娩希望日を2週間くらいの幅の中で3日位選んでいただき、分娩準備状態の成熟度を見極めてそのいずれかの日に合わせて分娩を行うので、希望日には陣痛が発来する直前の状態(子宮口の熟化が進んだ状態)になっています。従って自然に陣痛が起こって入院する場合もありますが、多くは自然に陣痛が起こる直前の状態を見極めて希望日の前日に入院します。
このように胎児にとって最適な分娩時期を選んで診療時間内に分娩を行う方が分娩の管理に余裕があり、胎児や母体にとって、より安全で快適な出産が可能となります。