私が妊婦の運動療法を推進し始めた1981年頃は、妊婦様には安静を基本とする生活指導が行われていました。
流早産は運動や振動(乗り物)によって引き起こされると考えられていたからです。
そのため肥満による難産や、妊娠性高血圧症(妊娠中毒症と呼ばれていました)が多発していました。私はこれを防ぐために、なるべく早くから体を動かすべきという信念を基にマタニティビクスを創り上げ、どんどん運動をして汗を流してもらいました。それから1〜2年経った頃、超音波画像診断技術が急速に発達し、妊娠初期の流産は運動によるものではないことが検証されました。
さらに、妊娠中期以降の切迫早産には運動が予防的に働く(運動によって免疫力が強化され、またお腹の張りを抑制する物質
しかしながら、マタニティビクスを励行するとお腹の中の赤ちゃんの知能や体力や運動神経に良い影響を与えるということは、まだ検証された事実にはなっていません。
当院では比較すべき非運動群妊婦が存在しなくなったからです。現在は「人間は初期ほど大切」ということが立証されつつある段階です。
当院で分娩を希望される方は、この私の信念も流早産と同様にいずれは検証されることを信じてマタニティビクスを実施してください。そうすれば、食事や旅行などの制限や規制は一切なく、マイナートラブルも解消し、とても大切な「楽しい生活」を送ることができます。
とくに高齢初産の方には、マタニティビクス励行を前提とした上で分娩をお引き受けしています。