- それはむかしむかしの大昔…。
私たちの祖先が住んでいた森林に気候の大変化がおこり、雨が減って森林も大激減。
そのため食物の豊かな森林に棲息していた4本足の人間の祖先たちは樹から降りて食物を探さなければならなくなりました。
で、広い平原をエサを求めてあんばい良く移動するために、しだいに2本足で直立して歩くようになったのです。約400万年も前の出来事でした。
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- 歩くために必要のなくなった前足は手となって発達し、細かい作業をする能力を得て脳の発達を促しました。
そのせいで頭はどんどんデカくなり、頭蓋骨もばかデカくなっちゃいました。頭の重みは体の中心を垂直に落ちるのが一番疲れません。 そんなわけで今の人間の基本の姿勢が形づくられたのです。
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- ところで牛も馬も哺乳動物の赤ちゃんって生まれてからすぐに歩き出したりママのおっぱいを吸いに行きますよねェ。
でも人間の赤ちゃんは歩き出すのに、生まれてから1年くらいかかっちゃいます。一体どうしてなんでしょうね?
はい。その理由はデカく発達した頭にあるんです。
すべての機能が成熟するまで胎内にいると発達した頭のデカさのせいで産道を通れなくなっちゃうんですよ。
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- 妊娠すると他の4足歩行の動物は子宮口が子宮の一番上の位置になりますよね?
でも人間は立ち上がったために子宮の上下が逆転し、子宮口が一番下の位置になっちゃいました。その結果、赤ちゃんが育ってくると重力によって子宮口を押しひろげるような圧が加わり、その結果動物学的な意味での早産で子孫を残すことが定着したのです。また早産しなければ出られなくなってしまうのです。つまり出られなくなる前に出て来ちゃうわけですねー。
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- とは言え、あんまし早く出て来すぎても未熟すぎて育ちません。
そこでデカ頭が通過できるギリギリの大きさまで胎内で育ちもうこれ以上デカく育つと出られないぞ〜〜ってとこで早産するのが人間のお産なのです。で、発達した知能と手によって在胎260余日の未熟児を胎外で成熟させて子孫を残しているわけです。
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- けれど、「赤ちゃんが産道を通過でき、なおかつ胎外に出てもちゃんと育つギリギリの大きさ」ってのはけっこうクセモノです。
その大きさの胎児を産むということは、人間の生理機能にとってもギリギリの現象なんですよ。
普通、人間の生理現象ってのは最大能力の20〜30%しか使っておらず、常に70%の余力が保たれているものです。けれど人間って奴は異常な刺激を受けることで残り70%の余力の限界まで機能を使えてしまうのです。
つまりお産は100%の作業!
まさにこれは生理現象ではなく異常現象なわけです。
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- そう、結局人間のお産ってのは機能の限界ギリギリ自然の摂理からはみ出したことなんです。
めちゃめちゃ痛いワケですよねー。つくづく人間ってのは大したもんです。
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- おしまいに一言。人間の2足歩行の形態ってのは獲物を追い続ける生活に適応して成立したモノです。つまり直立して2本の足で移動して行く(持久性の全身運動)のに都合よく作られてるんです。
だから人間の健康にとっては全身持久力が最も大きな影響を持ちます。
正しい姿勢で持久的な有酸素運動を一定の頻度で続けることが人間の機能を最大に発揮できる条件でもあるわけです。
人間にとってまさに異常現象とも言えるお産においてその機能を最大限に発揮し、スムースなお産をするためには、よく体を動かすことが大切なこともしっかり頭に入れておくべきですね。
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