妊娠中の体重管理

〜妊Pの生活心得〜
今月は多くの妊Pの皆さんが頭を抱える
「体重管理」のことをお話しましょう。
妊Pの体重管理は安産の鍵とも言えるくらい重要なテーマです。
そして、それは「妊婦の高齢化」「運動不足」「過剰栄養」とも
深くかかわっています。
ほらほら「まずい…」と思ってるそこのあなた!
増えすぎちゃったと落ち込む前に
まあ、この特集を読んでみてくださいな。
今まで食べたいのを我慢しすぎてるあなたも、
これから先の妊Pライフがもっと楽しくなるかもしれませんよ。
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妊Pの体重評価方法

一般に妊Pの体重評価には2つの方法があります。

  • 「体格指数」(Body Mass Index)
    体重を身長の二乗で割って得た数値の標準値を22とする方法。
  • 「ブローカーの変法」
    身長から100を引いて0.9をかけた値をその身長の標準体重とする方法。
[ill02] 前者は妊娠していない人の体脂肪率の評価にはいいのですが、妊Pの場合は脂肪以外の増加(胎児の体重、羊水量、浮腫の有無など)が大きく影響するので、特に妊娠末期の健康評価にはあまり役にたちません。
一方後者は多少の誤差を許容することを前提とすれば、簡単に算出できて実用的です。
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妊Pの適切な体重増加量

さて、妊Pの皆さんにとっては「何キロまでなら太っていいの?」っていうのが気になるところでしょう。
妊Pの適切な体重増加は標準体重の場合ならプラス8kgが目安です。
ただ、ふだんの体重が標準体重を超えている場合は、その過剰分を増えてもいいはずの8kgから引いた数値がその人の適切な増加量になります。逆に標準体重を下回っている人は、その不足分を8kgに加えた数値まで 増えていいことになります。
[hyo01] たとえば身長が160cmの妊Pの場合、ふだんが60kgなら妊娠中の増加は2kgまでしか許されず、ふだんが48kgなら14kgまでなら過剰増加とは考えないのです。
あなたはいかがでしょうか?
表のように当院の体重増加は10kgちょっとです。平均身長159.4cmの標準体重は約53.5kgですから最適増加量8kgをたすと61.5kgになります。経産婦は理想的です。初産婦はふだんの体重が3.7kgほど標準体重より低いのでもう1〜2kg増が理想的体重です。

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妊Pのエネルギー消費

[zu01]体重増加を適正に保つには、エネルギー消費とエネルギー摂取のバランスが大切です。どのくらい食べたかを評価する場合、どのくらい体を動かしたか、どのくらい汗や尿や便が出たかをチェックしなければ意味がありません。

では、具体的に妊Pはどのくらい運動をすればいいのでしょう。
たとえば「散歩」のように運動強度が低い運動ではかなりの長時間を歩かなくては有効な運動量が得られません。かと言ってあまり強い運動では安全性が確保できないだけでなく脂肪よりも糖質の方をエネルギー源として使ってしまう率が高くなってしまいます。
[zu02]つまり、運動強度は中程度で、時間も長すぎず、継続してできるような楽しい運動をすることが重要なわけです。
そこでおすすめするのが「マタニティビクス」です。
マタニティビクスは、ゆっくりした全身運動で徐々に心拍数を上げてゆき心拍数130〜150拍/分の運動強度を約30分継続させ、徐々に心拍数を落とし、クールダウンを含めて約1時間で終了します。
[zu03]その運動メニューには全身持久力の増進や、妊Pに必要な局所(骨盤底の筋肉・腹筋・胸筋・背中と腰の筋肉)のトレーニングが含まれており、だいたい1回のマタニティビクスで300〜350kcalを消費します。
無痛分娩を行っている「田中ウイメンズクリニック」では、このマタニティビクスを週に2回以上行うことをお勧めしています。特に高齢初産や多胎妊娠、肥満の妊Pさんには毎日やってもらいたいですね!
マタニティビクスは日本マタニティビクス協会に登録されたスタジオで認定インストラクターが指導していますので現在までにトラブルは全くなく、安全で有効な運動なんですよ。

[★運動と食事のとり方]
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妊Pのエネルギー摂取

[zu04] ところで、最近の栄養摂取の傾向としてはエネルギー量やタンパク質、糖質は 減少しているものの、脂肪をとりすぎてるようです。
それでなくても妊Pのカラダは脂肪を蓄えようとする傾向が強くなるんです。 だからこそ、脂肪の燃焼は重要です!!
脂肪の過剰蓄積は妊娠中毒症や妊娠糖尿病を誘発したり腹圧が下がって 産むときの力が弱くなったり、赤ちゃんが産道を通りにくくなったりしますから…。
それから、現代の食生活は普通に食事しているだけでたくさんの塩分を摂取してしまいます。
ぜひとも、薄味の食習慣をつけるようにしましょう。

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まとめ

要するにエネルギーをたくさん出せば、たくさん食べたっていいわけです。
妊Pだからって甘い物ダメ!脂っこいものダメ!コーヒーダメ!旅行ダメ!乗り物ダメ!
とダメ攻撃ばっかり受けているとストレスになって逆効果です。
ママが何でもありの豊かな精神を保つことは胎児にとっても大切なことなんですよ。
皆さんに守ってもらいたいことは以下のことだけです。

  1. できるだけ体を動かして背中に汗が流れること
    (マタニティビクス)をする!
  2. 食事に関しては、食べたいものを食べたいだけ食べて
    楽しく過ごす!

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[ill03] ちなみに、この2つをちゃんと守った妊Pが肥満や妊娠中毒症になったことはありません!キッパリ
ね?なんか元気が出てきたでしょう。
さあ、あなたも今日から元気な妊Pになってすてきな赤ちゃんを産んでくださいね。

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