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1-2.お産にはもう一つの“痛い”がある。

さて、さきほど言いました‘赤ちゃんの通り道’が押し広げられる痛み(娩出期)が始まる前に、実はもう一つの痛み(開口期)があるんです。それは、子宮が規則的に収縮してデカ頭の赤ちゃんが子宮口を押し広げることでおこる痛みです。

下の図1-aは分娩間近の子宮の断面図ですが、この子宮口のの硬さや長さによる子宮頚管部の伸展性は安産か難産かを大きく左右します。

胎児は普通、頭から進んで行き硬い頭蓋骨が子宮口を圧迫、伸展してじわじわ押し広げて行きます。そして子宮口が10センチほど開くと完全に開ききった状態となりこれを子宮口全開大と呼びます。

お産はざっと次のように進んでいきます

  • 分娩第1期(開口期)…陣痛の始まりから子宮口全開大まで
  • 分娩第2期(娩出期)…胎児が産道を通り抜けて産まれ出るまで
  • 分娩第3期(後産期)…胎盤が排出されるまで
[★これについての詳しくは妊P第4号の特集「産むときゃどーなる?」をご参照くださいね。]
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お産の経過の中では図1-cが示すように分娩第1期の占める時間が一番長く、従って産痛の大半は分娩第1期にあるのです。

  • 初産は経産より時間がかかる
  • 子宮口が4センチ開くために初産では全分娩時間の2/3以上(平均10時間)、経産婦でも3/4(平均6時間)ほどかかる。
  • 分娩中の苦痛の大半は分娩第1期の痛みが占めている。
この分娩第1期の所要時間と痛みの程度はさきほど言いました子宮口の伸展性と関わってきます。
子宮口が柔らかく陣痛が強ければ分娩時間は短くてすみますが子宮口が硬くて伸展性が悪いのに、陣痛が強ければ痛みは大きくなりますし、時間もかかります。
下図1-dは陣痛の強さを一定と仮定した場合の子宮口の硬さによる痛みの強弱とお産の難易の関係を表にしたものです。

このように安産のためには子宮口の伸展性はとっても重要なんですね。
もちろん数あるお産の中には上図1-dの一番左側にある子宮頸管不全症のように何ら痛みを伴わない分娩もありますがほとんどのお産には激しい痛みを伴うのが当然なのですよ。
全例が硬膜外麻酔分娩の【田中ウイメンズクリニック】では、分娩の開始前に子宮口を十分に熟化させて、3〜4センチまで開大させてから陣痛を誘導または誘発しますので分娩所要時間が大幅に短くなります。
つまり分娩第1期が短くなるので母体の体力の消耗を少なくし筋肉の疲れによる弛緩性出血を防止し、結果的に出血量も少なめになります。
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