2.痛くないお産って?
 (産科麻酔の種類と適応)

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2-1.お産の麻酔にはどんな種類があるの?

さてさて、左表1をご覧下さい。
産科麻酔ってのは大きく2つに分類されます。

下の図2-aと図2-bは「脊髄麻酔」と「硬膜外麻酔」を理解していただくための図です。

■「全身麻酔」

  • 静脈注射で眠らせる「静脈麻酔」
  • 酸素と一緒に麻酔薬を吸入させて意識を取り去る「吸入麻酔」
■「局所麻酔」(意識は残し体の一部を麻痺させる)
  • その部位を支配してる神経の根本箇所や神経の集まる所に麻酔薬を注射してその部位の痛みを取り去る「神経ブロック」
  • 図2-aの「硬膜」を通過して「クモ膜」下腔の脳脊髄液の中へ局所麻酔薬を注入する「脊椎麻酔」(痛みは無くなるが運動神経も麻痺する)
  • 図2-bの矢印の場所である「硬膜」の外側の硬膜外腔へ局所麻酔薬を注入する「硬膜外麻酔」(注入した箇所の神経が支配する部位だけを選択的に無痛状態にし、痛みはとれても運動神経はあまり麻痺しない)
これらの中でも「硬膜外麻酔」は陣痛や会陰部の痛みはなくなっても足は動かせるのです。つまりいきみも普通にできて、子宮の収縮も弱まらないというお産にとってまことに好都合な状態になるんです。
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2-2.お産に一番合っている麻酔ってどれ?

はい。もうお分かりですねー。そうです。硬膜外麻酔です。
お産の場合は「長時間の痛みを抑えて、自分でいきみができて、赤ちゃんに麻酔がかからず、お母さん自身が元気な産声を聞くことができ、すぐに抱きしめてあげられる」ってのが良い麻酔だとすれば、これを全部クリアするのが「硬膜外麻酔」なわけです。

お産の麻酔にはこの方法が最も良いということは、もう何十年も前から定説になっています。
なのに日本であまり普及していないのは次の三つの理由によります。

  1. お産は自然の営みなのだから薬など使うのは不自然で痛いのを耐え忍ぶのを美徳とする考え
  2. 無痛分娩に対する三つの誤解(1-3参照)
  3. 硬膜外麻酔は技術的に難しく、熟練した麻酔の技術と知識を必要とするからなんです。
無痛分娩の場合に注射する腰部の硬膜外腔の幅はなんと4〜5ミリしかありません。そこにバシっと針を留めて麻酔薬を注入することはとても難しいことなのです。
【田中ウイメンズクリニック】では分娩第1期からの無痛という最も本格的な無痛分娩を世界に先駆けて確立しています。これは永年にわたる麻酔に関する研究を通じて得た様々な知識とノウハウの結集とも言えるわけです。
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