3-2.分娩時期の選択とは
分娩の時期(出産日)については、従来の統計的な研究結果と当院の30年の経験から、「安産は分娩予定日の1週間前頃に集中する」ことをパンフレット“当院の分娩様式”の中で詳しく説明していますが、最近の研究発表でも全く同じ結果が出ています。下記の図1、2、3を御参照下さい。
分娩予定日には1週間前後の幅があります。月経周期が常に28日であれば最終月経から280日目を予定日と言いますが、実際の受胎日はかなりずれていることが多く、また個体差があって全例が受胎日から266日目の分娩が最適とは限らないため分娩に適した日は1日ではなく10日〜2週間の幅があるのです。
従って真の分娩予定日の約一週間前(39週0日、双胎は37週0日)を中心に至適分娩日を個々の症例について推定して行く中で、若干の希望日を出して頂き、いづれかの希望日に適合する日を選び出します。但し、赤ちゃんに酸素や栄養を補給している胎盤には寿命があり、ある時期から機能低下を起こして行きますので、予定日を一週間以上超えない分娩をおすすめしています。
分娩の管理 双胎 −適切な娩出時期−
図1:日本人における単胎・多胎別分娩週数分布
対照は日本で1989-1993年間に26週以降分娩となった単胎児6,020,542名、多胎児88,936名である。多胎児の96%は双胎児である。 |
| 図2:単胎における子宮内・外危険度の比較
●N週出生児が生後1週未満で死亡する確率、●N週胎児が1週以内に死産する確率、▲N週出生児が生後4週未満で死亡する確率、▲N週胎児が4週以内に死産する確率 |
図3:単胎・多胎(双胎)別、分娩週数別 出産1,000あたりの死産/早期新生児死亡数
母集団は図1に同じ。■は単胎の死産頻度、■は多胎(双胎)の死産頻度、●は単胎の早期新生児死亡頻度、●は多胎(双胎)の早期新生児死亡頻度 |
図1〜3(水上:産婦人科の実際 vol52,No.12,1893-1898 2003より転載)
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